統合失調症とは

統合失調症

脳の機能障害のひとつで、幻覚・幻聴、妄想、思考障害などの症状が現れている状態を言います。これらの症状が見られることで、他者とのコミュニケーションが難しくなり、日常生活に支障をきたします。

統合失調症の症状は、陽性症状と陰性症状に分けられます。陽性症状では、幻覚、妄想、考えがまとまらない、異常行動などがみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情の減退(喜怒哀楽が乏しい)、自閉などがみられます。

統合失調症は100人に1人の割合で発症するとされ、それほど珍しい病気ではありません。また発症しやすい世代として10代半ばから30代が挙げられます。特に10代後半~20代半ばに起きやすく、男性患者様の方が早い年齢層のうちに発症し、女性患者様の年齢の方がやや高めです。また男女差では男性の方が患者数はやや多い傾向にあります。

発症の原因は、現時点では明確ではありません。遺伝的要因(脳内にある神経伝達物質のひとつドーパミンの過剰作用 など)に環境的要因(仕事や人間関係のストレス、転職や引越しなどの環境の変化 など)が加わると発症するのではないかと言われています。また中枢神経系が発達する過程で何らかの異常が起きると発症するのではないかとも考えられています。

躁うつ病のタイプ

主に3つのタイプ(双極性Ⅰ型障害、双極性Ⅱ型障害、気分循環性障害)に分類されます。双極性Ⅰ型障害は、はっきりした躁状態とうつ状態を繰り返している場合を言います。双極性Ⅱ型障害は、比較的軽くて期間の短い躁状態とうつ状態が繰り返されている状態です。また、躁状態とは判断できない気分の高揚とごく軽めのうつ状態を繰り返している場合は、気分循環性障害と診断されます。

躁状態とうつ状態が繰り返される期間は3ヵ月~半年程度とされます。また人によっては、症状が改善せず、慢性的な経過をたどる場合もあるとも言われています。

治療について

治療は、薬物療法と薬物を使用しない非薬物療法(精神療法、リハビリテーション)になります。

薬物療法では、抗精神病薬を使用します。これには従来から用いられている定型抗精神病薬と新しいタイプの非定型抗精神病薬があります。前者はドーパミン系(脳内の神経伝達物質のひとつ)に作用する特徴があり、副作用としてパーキンソン症候群を起こしやすくなります。後者は、セロトニン系(脳内の神経伝達物質のひとつ)にも作用し、副作用としてパーキンソン症候群を起こす可能性は定型よりも少ないとされています。ただし、体重増加や高血糖になりやすいといった副作用が現れることがあります。また医師が必要と判断すれば、抗うつ薬や抗不安薬も併用していきます。

非薬物療法としては、統合失調症という病気そのものを患者様自身が理解する心理教育、社会復帰に向けて行われる生活技能訓練、他の患者と同じ悩みを共有するなどの精神療法などを行っていきます。